『コールセンター勤務者に多い耳鳴 ヘッドセットと耳鳴の関係についての考察②』
前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
先程ご紹介した、「難聴の進んだ状態が耳鳴」というお話もう少し詳しくご紹介します。
コウモリが、暗闇でぶつからずに飛べるのは、レーダーの様に、耳から発した音波の反射を耳でキャッチして、周囲の状態を理解することができるからで、そのため、まるで見えているかの様に、自由自在に暗闇を飛び回れるのです。
実は、人間にも、これと似た能力があることが最近の研究で分かってきました。
つまり、人間も耳から微細な音を出して周りの状態を探る能力があるらしいのです。
具体的には、「気配を感じる」みたいなことが皆さんもあると思うのですが、あれがコウモリと同様の能力なのです。
とはいえ、人間は目の発達により、この耳の機能は長い間に退化してしまい、通常使えるレベルにはないのですが、0というわけではない様です。
ところが、難聴になると、当然、耳の音を聞く能力が落ちてしまうわけですが、結果、聴覚神経の一部が、一生懸命音を拾おうとして、今まで聞こえていなかった、自分が発している音を拾ってしまう、ということが起こる様で、これが耳鳴りではないか?と最近考えられるようになりました。
つまり、難聴が先に起こり、その結果として耳鳴が起こっている。という事のようです。
実際、当院では、耳鳴、難聴の患者さんが多数おられますが、施術方針は耳鳴も難聴も同じです。
簡単に言えば、首肩周りの血流の改善と、耳神経への刺激。
ただし、これは誰にでも効果がるというものではなく、発症から日が浅く、年齢が若い方ほど治りやすいです。
先日来られた、40代の耳鳴の患者さんは発症の経緯も特殊でしたが、いわゆる急性の耳鳴でした。
難聴のご自覚はありませんでしたが、一部の周波数のみ聞き取れなくなっている可能性もあり、はっきりしたことは言えませんでしたが、この方は、1回の施術で耳鳴が劇的に小さくなりました。
その後も少し耳鳴りが気になるとのことで、体のメインテナンスも含め通院されていますが、来院前にあった、眠れないほどの耳鳴は完全に消えてしまったそうで、こういうところに鍼灸の面白さを感じますね。
難聴に関しては、1回で劇的に改善する事例は珍しくありませんが、耳鳴は、先程ご紹介したように難聴の進行例なので、普通は数回の施術が必要となります。
いずれにしても、当院では、多くの難聴、耳鳴の方が改善していますので、理論はともかく、効果はあるようです。
では、いよいよ、表題の
「コールセンター勤務者に多い耳鳴 ヘッドセットと耳鳴の関係について」
というお話に入っていこうと思います。
図に示したのは、朱子頭皮針という方法論の中で、耳顳区(じしょうく)と呼ばれる部分で、耳の疾患に対して使用する部分です。
通常はここに鍼刺激を加えて、施術を行います。
つまりこの部分は、耳の神経などに関わる部分ということなのです。
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中途半端で申し訳ありませんが、文字数の関係で、以下、次回に続きます。