うつ病・自律神経失調症への取り組みについて 前編

『うつ病・自律神経失調症への取り組みについて 前編』

 

うつ病と自律神経失調症のお話をしたいと思います。

当院には、うつ病や自律神経失調症でお悩みの方が多数ご相談に来られます。

ただ、多くの方が、うつ病や自律神経失調症の症状を誤解しておられ、お話を伺うと、うつ病や自律神経失調症では無い、と思われる例も多いです。

 

うつ病と自律神経失調症の診断で難しいのは

「客観的な判断指標がない」

という部分です。

これは実は珍しいことで、一般的に西洋医学では客観的指標

つまりエビデンスを大変重要視して、診断を下します。

 

昔のお医者さんは、患者さんの話を聞き、体を触り、音を聞き、体の反応を確認して診断を下していましたが、最近の医療では、「客観的な指標」

つまり、血液検査や、画像診断、その他の測定可能な指標を重視する傾向が強く、医師の主観的な診断はあまり重要視しない傾向にあります。

 

ただし、面白いことに精神疾患や自律神経失調症など一部の病気については、客観的に診断しようがないので、医師の主観で診断するしかなく、最新の医療の中では少し特異な位置にあるように思います。

 

さらにうつ病や自律神経失調症という名前が一人歩きしている関係で、誤った判断をされていることも多いです。

 

当院に「うつ病」や「自律神経失調症」と診断を受けた上で相談に来られる方も多いのですが、どうも私の考えるうつ病や自律神経失調症の症状とは違うことが多い。

自律神経失調症だという方に「食欲はありますか?」「夜はよく眠れますか?」

と質問すると、いずれか一方だけだったり、うつ病ということで来られているのに、微笑みが見られたりするのです。

 

話が長くなりますが、自律神経失調症というのは、概ね交感神経が過剰になっている状態です。

交感神経は戦う時に優位になるものなので、食欲は低下し、眠気も抑えます。

さらに戦う時に手足抹消を傷つけられて出血するのを防ぐために手足抹消の血流を抑えるので、手足が冷えます。

 

つまり、自律神経失調症の特徴は、「不眠」と「食欲不振」 

これが無い自律神経失調症はないはずです。

 

うつ病もこの二つは共通しますが、うつ病の最も大きな特徴は

「喜びの喪失」なので、笑えない。趣味が楽しめない。何もやる気が起きない。

などが特徴的となります。

 

最近は、「新型うつ病」という、趣味は楽しめるけど、仕事はできない、という症状もうつ病に含まれたりしていますが、私は違和感を感じてしまいます。

 

私自身、過去に3回ほどうつ病になったことがあり、うつの苦しさは理解しているつもりです。

製薬会社で抗うつ薬を担当していた当時は、抗うつ薬こそが、うつ病治療の第一選択だと信じていましたが、今は必ずしもそうではありません。

 

基本方針は、減薬

抗うつ薬は最低限にして、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を少量使い、生活習慣を改善し、その上で鍼を併用するのが最善の道と考えています。

 

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長くなってしまいましたので、前半はここまでとさせていただき、後半で施術方針などについてご紹介させていただきたいと思います。