妊婦さんのぎっくり腰への対応について

『妊婦さんのぎっくり腰への対応について』

 

当院には、妊婦さんにも多くご利用いただいております。

 

その大半は、妊娠される以前から定期的な通院をしていただいてる方々ですが、特に「不妊治療」ということではなく、全身調整を通常通りに、定期的にしていただいているうちにご懐妊に至った皆さんが多いですね。

 

実は、私の方針で、「不妊治療」というのはしたくないのです。

 

なぜなら、責任が取れないから。

 

なので、もちろん、不妊治療としての別料金はいただきませんし、妊娠後も胎児に影響が出ない範囲で、通常通り施術を行い、悪阻対応、逆子対応なんかもしております。

 

ただ、難しいのが妊婦さんの腰痛です。

妊娠中の鍼については、諸説ありますが、ある研究で、堕胎を希望する妊婦に対して、あらゆる堕胎の鍼を試したが一例も成功しなかった、という報告(1980年陳吉生、1983年周淑英)もあり、安全性はかなり高いと考えていますが、やはり、お腹周りへの強刺激はやめておいた方が良いという意見が多い様です。

 

通常の腰痛施術では、腰部の脊柱起立筋、腸骨筋、臀筋群に刺鍼して、通電を行います。

この方法で、多くの症例は一度で改善できるのですが、妊婦さんの場合、通電することが躊躇われます。

 

そこで、通電は行わず、鍼を多めにして、15分−20分安静にしていただく方法をとっています。

 

通常の腰痛であれば、これでもかなり改善できるのですが、困るのはぎっくり腰です。

 

ぎっくり腰の施術については、何度かご紹介しましたが、腸骨筋を痛めていることがほとんどの為、深部に電気刺激を入れないと劇的に完全することが難しいのです。

 

そのため、妊婦さんのぎっくり腰は、出来るだけ扱いたくない症例になるわけですが、断るわけにもいきません。

 

先日来られた常連の方は、幸い、まだうつ伏せにはなれる状態なので、通電を行わず、患部に出来るだけ鍼数を多くして刺激をいれ、15分程度置鍼。

 

立ち上がっていただくと、まだ痛みが強い。

そこで、座位のまま、幹部を狙って、鍼一本で刺激を入れていきます。

これを何箇所か繰り返していくと、だんだん腰痛は改善していき、最後にはなんとか普通に歩ける様になりました。

 

とはいえ、翌日には、また痛みが出てしまったので、再度翌日来院いただきましたが、二日続けてやるとかなり改善したようで、その後は大きな痛みは出ていないとのことでした。

 

腰痛で悩んでおられる妊婦さんはおそらく多いことと思います。

 

鍼灸師の方針によるので、妊婦さんは施術できない、という鍼灸院もあるかと思いますが、腰痛でお困りの際は、妊婦の施術経験のある鍼灸師を探して、ご相談されてみてはいかがでしょうか?