自律神経失調症について②

自律神経失調症②

 

さて、前回はそもそも「自律神経失調症」がどういうものか、についてご紹介させていただきました。

今回は、当院における、「自律神経失調症」への取り組みについてご紹介させていただきます。

 

当院に来院された際は、まず最初に色々とお話を伺わせていただきます。

その際、発症の経緯、生活習慣、生活環境、仕事内容、服薬しているお薬、家族の状況、食事、睡眠、その他のお悩みなど、出来るだけ、細かくお話を伺います。

その為、初回は30分ほどお話を伺うこともあり、初診の方に関しては、出来るだけ長く時間を確保する様にしています。

 

自律神経失調症は、様々な問題を引き起こしますが、もっとも重要なのは不眠と食欲の低下です。

これは、うつ病とも共通しますが、鬱病との大きな違いは「喜びの喪失」があるか、ということになります。

その為、ご本人が「うつ病」と主張されていても、

私と普通に会話ができる。顔貌に問題がない。笑える。

という状態の方は自律神経失調症と考えています。

 

そういう状態の方でも、睡眠薬をはじめ、抗うつ薬、精神安定剤、さらには抗精神病薬まで投与されている方が少なく無く、医師の処方のいい加減さにうんざりすることもよくあります。

 

もちろん、うつ病においても「流石にこれはやりすぎだろう」という処方をされている方も大変多いので、まずはお薬の調整をご提案することが多いです。

 

自律神経失調症に対して、抗うつ薬や抗精神病薬が出ている場合は、医師と相談して、本当にこれらの薬が必要なのか?減らすことはできないのか?ということを確認していただく様にしています。

精神科の医師とは前職で100名ほど関わりましたが、初回以降はあまり患者と話す時間を取らず、そのままの処方を漫然と継続する医師が大変多かったので、3ヶ月以上服薬をきちんとしているのに症状に改善がない場合は、医師ともう一度話をしたほうが良いと思います。

 

実は、服薬量が多い方は鍼灸の効果が出にくくなる為、鍼灸治療を始めるにあたり、余計な要因は排除して起きたということもお薬を減らす理由の一つです。

 

幸い、私は以前製薬会社で、抗精神病薬、抗うつ薬を担当していて、お薬の使い方を医師に説明する立場でしたので、この分野に関しては、かなり深い知識と経験があり、鍼灸師として患者様と関わるに当たり、大変役に立っています。

 

少し話が脱線しますが、お薬に関しては、以前にも書きましたが、「毒を薄めたものが薬」ですので、たくさん飲めば良いなんてことは絶対に無く、必要最低限の量を必要最低限の期間服用するのが最善なわけですが、当院に来られる患者さんにお薬手帳を見せていただくと大半の方の処方が「????」となってしまうものが含まれており、余計な薬を知らない間に飲み続けている、なんて事例をたくさん見かけます。

 

話を戻します。

要は、本格的な鍼灸治療をするにあたっては、薬を整理し、本当に必要なものだけに絞った上で鍼灸施術によって「気、血、津液(体内の水分)」を調整し、体を元に戻していきたいのです。

 

今回はお薬の話が中心になってしましましたが、結論をいうと、自律神経失調症に必要な薬は、せいぜい睡眠導入剤程度です。

しかも、半減期(効果持続時間)があまり長くない、(中毒性が低い)非ベンゾジアゼピン系のものを選択すべきと考えます。

 

現在、自律神経失調症と診断され、大量のお薬を飲んでいるが変化がない、という方は、今一度、服薬中のお薬を見直してみてはいかがでしょうか?

 

今回は以上となります。

次回、鍼灸施術の内容などについて、ご紹介させていただきます。