不眠でお悩みの方へ2

②の中途覚醒例ですが、これはなかなか難しい

 

原因として多いのは、「睡眠時無呼吸(SAS)」

最近では、SASもメジャーになってきましたが、重症例では突然死にもつながりうる重大な問題です。

以前は肥満が大きな要因とされていましたが、私の患者さんで40代の痩せた女性もSASだったこともあり、体型よりも年齢による「舌」の筋肉の衰えが大きな要因になるようです。

 

朝はスッキリ目覚めない。長く寝ても睡眠不足感がある。昼間眠くて仕方ない。という方で、

就寝中、いびきをかく、悪夢を多くみる、朝起きると喉が痛い・口が乾いている、普通に座っている状態で、舌が上顎に付いていない。などの兆候がある方は要注意です。

 

SASの診断は、睡眠障害の専門クリニックで一泊して検査を受けると簡単にわかります。

自分が怪しいと思う方、是非お近くの睡眠クリニックを受診してみてください。

 

中途覚醒の原因でもう一つ厄介なのは、「レストレスレッグス症候群」という病気です。

これは、自覚症状が出ないことがるんですが、就寝後、眠っている最中に脚を中心に勝手にピクピク動いてしまう病気です。

これがあると、就寝中でも刺激が入ってしまうため、目が覚めてしまうのです。

 

実は最近、当院で不眠治療をしていた方がなかなか改善せず、睡眠クリニックで検査したところ、「レストレスレッグス症候群」であることが判明し、やっと解決に向けて動けた例がありました。

 

中途覚醒の原因としては、他によく知られたものに「飲酒」があります。

飲酒については、就寝前に日本酒で1〜1.5合程度のアルコールであれば睡眠の質に影響がないということが、睡眠の権威であるスタンフォード大学の研究で明らかになっていますが、

これ以上のアルコールを摂取すると睡眠が浅くなり、長く寝ても寝た気がしないとか、早く目が覚めてしまう。なんてことが起こりやすくなります。

もちろん、個人差はありますが、少なくとも「眠れないから酒」というのはもっとも避けねばならない方法です。

当時、精神科を担当していたので、先生方に「睡眠薬の安全性について」ご意見を伺った際、全ての先生方が、「酒飲んで寝るぐらいなら睡眠導入剤を使ったほうがよほど体に良い」

と言われました。

 

とはいえ、睡眠導入剤も所詮お薬ですから、毒に変わりはないわけです。

もちろん、非ベンゾジアゼピン系のものを選ぶことで、中毒性は低くなりますが、精神的依存は否定できないので、できるだけ早く離脱することが望ましいです。

 

中途覚醒タイプの不眠は、このようにいくつかの原因が考えられるので、まずは何が根本原因なのかを特定する必要があります。

そして、SASであれば、鍼灸よりもCPAPが一番ですね。

レストレスレッグスであれば、ビシフロールなどの薬物療法と鍼を併用すると効果的です。

お酒の飲み過ぎの場合は、鍼ではどうしようもありませんので、生活習慣を見直していただくしかありませんが。

 

中途覚醒の施術も自律神経失調症と大きく変わることはありません。

鍼は基本的に気、血、津液(血液以外の水分)を整えます。

東洋医学には「滞ればすなわち痛む」という言葉がありますが、体調不良。特に原因不明の体調不良に対しては、全身への鍼灸施術を行い、全身の気、血、津液を整えることが基本となります。

 

ただし、生活習慣を見直すことも大きな要因となりますので、入浴とか、入眠時間、飲酒の状態など、細かく指導をさせていただくことになります。

 

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済みません。

2回で終わるつもりでしたが、長くなりましたので、もう1回続きます。