鍼灸は東洋医学のみ?

 

鍼灸院というのは、一般的には「東洋医学に基づいた施術を鍼を用いて行う所」だと思うんですが、実は半分ぐらいは西洋医学的な施術を行っています。

と言いますのも、「病院に3ヶ月以上通院してるけど治らない」などという肩痛の方は結構多いんですが、こういう症例については、殆ど西洋医学的な観点から治療を行います。

 

ただ、使う道具が東洋医学の道具、というだけの事です。

 

具体的にとどういうことかというと、例えば肩の痛みで患者さんが来られた場合、そのほとんどの方は、「整形外科で四十肩(五十肩)と言われて、数ヶ月通院しましたが、治りません」と話されます。

 

東洋医学的には、一例としては、肩関節には手の陰陽6つの経脈が走行しており、特に肩関節の場合は、足陽明胃経の条口(足のスネのツボ)と足太陽膀胱経の承山(ふくらはぎの真ん中あたり)を使うことが説明されており、私も初期の頃はこれを使って、確かに効果が出ていたんですが、最近はスポーツ選手の施術経験から、西洋医学的に考えて、どの筋肉が問題なのか考えて、そこに直接鍼刺激を行うことが多いです。実際、その方が効果が高いと私は感じます。

 

実は、肩関節というのは大変複雑な構造をしておりまして、肩関節に関わる筋肉というのは図に示すとおり、こんなにたくさんあります。

 

というのも、肩関節というのは最も可動域が大きい関節だからなんです。

ただ、整形外科では、「肩が痛い」というと、触りもせず、可動域も確認せずに「四十肩(五十肩)ですね」と診断して、湿布と痛み止めを処方して、リハビリに通わせ、数ヶ月様子を見る。問いうのが一般的な様で、多くの患者さんは痛い思いをしながらなかなか治らず悩んでおられます。

 

このことは前にも書いたことではありますが、四十肩、五十肩と診断された方の大半(感覚的には9割以上)は違う疾患です。

 

例を挙げれば、

・頸椎症性神経根症

・肩関節周囲の筋肉の拘縮

・打撲による後遺症(レアケースですが、ありました)

などです。

 

頸椎症性神経根症というのは、首を痛めたことが原因で起こる肩の痛みで、いわゆる神経痛なんですが、整形外科で「肩が痛い」と言っても、首を診てくれることは殆どありません。神経内科なら診てくれると思いますが、肩痛でいきなり神経内科に行く方は居られないでしょうね。

 

ですので、整形外科で「「四十肩ですね」と云われたときは、その医者がきちんと可動域、痛みの程度、発症状況などを確認したか、思い出してみてください。

もし、「肩が痛い=四十肩」みたいな診断だったら、信用しない方が良いです。

 

 

西洋医学的な鍼灸治療は他にも沢山例はあるんですが、長くなりましたので、他の例については、またの機会にご紹介したいと思います。